そう思い、見上げた先には思った通り、瞳を揺らす天竜。
涙を流すまいと必死に、堪えているようだ。
「申し訳、ないです…。黄泉様、幸せになってください…」
そんな言葉とは、裏腹に天竜は私を腕に抱きとめる。
『行かないでくれ…』そんな言葉が聞こえてきそう。
背中へ手を回すことができない自分。
今にも回してしまいそうな手を必死に引っ込めた。
天竜の背中に、手を回すことが出来たら…
どんなに、幸せなのだろうか…
背中に回されない手に気づいたのか、天竜は私の身体をゆっくり己から離す。
なくなった温もりに、どうしようもない息苦しさを感じた。
一番、離したくなかった温もり。
それを離すしかない辛さが私を支配する…。


