そんな、疑問を巡らせながら首を軽く傾げる私に天竜は、私の頭を撫でていた手を離した。
「…それは、違います。…本来ならば、私は貴女が訪ねてきたときにに貴女を、此処に通してはいけなかったのです…」
此処、とは天竜の家の中のことだろう
私の顔を見ない天竜。そんな天竜の顔をあげ、無理やり目を合わせた。
「…天、竜…?」
見えたのは、目を赤くする天竜。
その目は、涙したことを表している。
「…私は、わかっていました。貴女が訪ねてきた理由を…。
私が、別れを告げられることを、わかっていました…」
顔に触れている私の手を払い、再び天竜は私から目を背けた。
天竜泣きはらしたような目が、頭に描かれる。


