思わず上擦る声。なんとなく空気が気まずくてそれを変えるように、咳払いを数回した。
「天皇は…何故そんなに農民を嫌うのですか?」
ずっと問うてきた疑問。天皇が答えたくれたことは一度もない。
「…………」
問うといつもそうだ。切なく懐かしむような顔をする。
その顔を見る度に…何も聞けなくなるんだ。
「…そんなことはどうでも良いことだ。黄泉、お前は農民などと戯れていい者ではないのだ。自分の立場を弁えろ。」
天皇は一瞬、思い悩んだような顔をしたあと、開き直ったようにそう言い放った。
私はそれに勢いよく顔をあげる。
私が、一番許せない言葉。
“農民などと戯れていい者ではないのだ。”


