苛立つ気持ちを押さえるように着物の裾をギュッと力いっぱい握った。
着物に軽く癖がついている。
その癖を、軽く伸ばしているとまた言葉が飛んできた。今度は力強い口調で。
「私は、黄泉様を幼き頃から、心の底から慕っておりました!!…取り乱してしまい申し訳ありません。…しかし!私は…黄泉様を幼き頃から、嫁にもらうと心に決めていたのは確かです…っ。」
…それは信じられない、信じたくない…そんな言葉だった。
たった今、いきなり星宴が言ってきた言葉は私にとって、受けいる術が到底ないもの。
「本気で…申しておるのでしょうか?」
「嘘は…つかぬぞ。」
それは、顔が見えなくてもなんとなくわかるほど…露骨。きっと彼は今、顔を真っ赤にさせているだろう。
信じられない台詞。
嘘に思えない台詞。
照れている彼に気づいてしまった。
私も鈍いわけではない。
本当か嘘かの区別くらいつく。


