なかなか続きを言わない男。
相手の顔が見えないから、相手がどんな表情でいるのかも読み取れない。
あぁ、焦れったい。
「何を申したいのですか?」
痺れを切らしたように、少し強めの口調で言う。
「あっ…申し訳ない。」
なのに、返ってきたのはなんとも意味の分からない言葉で尚且つ、考え事をしたもので…なんて意味の分からない言い訳を述べ始めた。
調子が狂う。
「はぁ…」
相手に聞こえないように溜め息をもらした。
「いや…しかし。」
ふと、襖の奥から聞こえてきた言葉に反射的に相槌をうつ。
「黄泉様のような身分の高い姫に、許嫁という存在がおられることくらい当たり前では?」
許嫁…?
初耳だ。そう言うと、相手の驚いた声が聞こえてきた。


