君と歩む夢みて~時は平安~




まるで、昔からそう思っていたような言い種。
この者と会うのは勿論、今日が初めてだ。



天皇から私と婚約するように命じられただけのこの男が、まるで自分の意志のように婚約したいと言うのはおかしくないか?



私が可愛げがあって、こんな性格がなければそれもあり得るであろう。
けれども…私がこの男にしているのは、随分と無礼な仕打ち。



襖ごしの男の心中が読めなくて、意味がわからなくて、自分が振り回されているように感じて仕方がない。



まさか…
私がこの男と接したことがあるとでも言うのだろうか…。



自分の記憶を辿ってみても…そんな記憶は微塵もなくて。



1人でひたすら自問自答。



またしても、沈黙が流れ、
あぁ…この見合いの大半が沈黙だったな…
なんて、良くわからないことも思った。