「くるみ、いいな?」 そんなこと聞かないでよ… あたしに拒否権なんてどうせないんだから。 「……わかった」 「よかったわ。じゃあ陸くんに言っておくのよ」 「えっ?」 お母さんの言葉に思わず声を漏らした。 「あの…陸くんは今回の婚約の事知らないの?」 なに、と言う目で見られあたしは小さく聞いた。 「えぇ、知らないわよ。だから陸くんには貴女から言いなさい」 あたしは少し放心状態になって、すぐに自室に戻って電話をした。 「…もしもし?」 美里ちゃんの声を聞いた途端、涙が頬を伝った。