英里さんはあたしの第二の母親でこの家のお手伝いさん。
本当の母親より信頼してて、何でも話してる。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
本当は“お嬢様”なんて呼ばれたくない。
こんな家に産まれなければ、と何度思ったことか。
陸くんと付き合うことになったのだって両親があたしを、娘を商売の道具にしたから。
自分達の会社の利益の為に、陸くんと婚約させようとした。
どうせあたしに拒否権はないけど、知らない人と婚約なんて嫌だから恋人からにして貰ったんだ。
陸くんの親の会社はあたしの親の会社よりも大きい。
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