One Way Ticket 2

「千香はさぁ、初対面のやつの言葉を信じて
 好きなやつの言葉は信じないのかよ?」



・・・






・・・





私は・・・・




「那智の女」




その言葉だけを鵜呑みにしていた?



那智は・・・?








何も言ってない






「私・・・那智は何も言わなかったから・・・」


「何も言わなかったんじゃなくて
 千香が何も聞かずに飛び出してきたんじゃねーのか?」

何もかもわかったような口ぶりの仁


そうだ


あのときの場面


悔しくて
悲しくて

ちゃんと思い出そうともしていなかった



那智は



まだ何も言ってない





私は誰よりも





那智を信じたい




「はいっ、行ってらっしゃい。」


仁はすでにお店のドアを開けて立っていた

私は
走り出した


涙はいらない
ただ好きな人のもとへ