One Way Ticket 2

那智のうち。

なんだか緊張する。

広いフローリングの部屋
大きな窓にはブラインドが降りて
窓と同じくらいの高さの観葉植物が目を引いた。

「適当に座って。」

散々悩んで
ソファーの隅に小さく座った。

「何でそんなに隅に座るの?」

コーヒーを入れてくれた那智はカップを私に渡すと
隣にドカッと座った。

緊張が
鼓動が
ソファーのスプリングを通して
那智に伝わりそう・・・

「・・・シンプルな部屋だね。」

必死で話題を探してやっと出たのがこの一言。
情けない・・・。

「ああ。必要なものしか置かないから。」

液晶テレビにソファー、テーブル。
それ以外には何も無い部屋。

「どこで寝てるの?」

普通の質問のはずなのに
言った後から恥ずかしくなって
コーヒーをすすった。

「あそこに階段あるでしょ?」

那智の指すほうにはロフトみたいな部分へ続いている
階段があった。

「中二階になってて、そこを寝室にしてる。」

「そっか。」

沈黙はいつものことだけど
今日は場所が悪いよ。

那智の部屋って?!
っていうか・・・
何でいきなり部屋なの?

私たちってやっぱり付き合ってるの?

・・・

・・・

「千香。」

「ん?」

「すごく変な顔してるけど、どうした?」

悶々としていたのを見られた。
しかも変な顔って・・・

那智に可愛いとか言われたことないもんなぁ。

「もしかして合コンを反対したの怒ったとか?」

少し気まずそうな那智は初めてで

「え?
 そんな事ないよ。むしろそう言ってくれて嬉しかった・・・し。」