One Way Ticket 2

五分も走らないうちに
高層マンションの地下駐車場に車は止まった。

あれから一言も話さない那智。
私は何を言っていいのか解らない・・・

ただ
那智が私が合コンに行くのを
反対してくれたのが嬉しくてたまらない。

「降りて?」

那智に言われて車を降りる。
広くて薄暗い駐車場に私のヒールの音が響いた。

エレベータに乗って
8階で降りて
突き当たりの角部屋・・・

「入って?」

「あ、あのここは?」

車を降りて後姿しか見てこなかった那智の顔を見上げる。

「俺の家。」

当然のように返した那智に私は思考回路が遮断された。
那智の家?

急に何で?

「え?・・・・なんで?」

戸惑いと驚きが隠せない私に那智は
少し微笑んだ。

「飲酒運転は免停なんだよ。車で送ってほしいなら
 おとなしく中に入って。」

那智の笑顔にもびっくりだけど・・・
この状況には驚きだよっっ!