One Way Ticket 2

ライブが終わっても
私はその場からしばらく動けなかった

恭子に促されて
私は出口へと向かう


ライブハウスの中には
私たち以外誰も居なくなっていた


「先輩!」

少しかすれた声に呼ばれて振り返る

ステージの袖から
司が出てきた

軽やかにステージから飛び降りて
小走りで私に近づく


司の汗のにおいが
変に緊張をあおる・・・


どうしよう
司を見れない


「今日はありがとうございました。」

嬉しそうな笑顔

「ううん。・・・こちらこそ、楽しかった。」

緊張を出さないように
悟られないように

「ステージで先輩を見つけたとき
 すっげぇ嬉しかったです!!なんか変に緊張したぁ。」

ははって・・・

気持ちよさそうに笑わないでよ・・・

私は逆に居心地がわるい