One Way Ticket 2

大音量で流れる音楽

ベース音に体が振動するのがわかる


しばらくすると
いつの間にか私たちは
観客に囲まれてるのに気がついた


さっきまで無関心だった人たちが
司の声に魅せられてる
パフォーマンスに酔いしれてる


なんだか
それが嬉しかった


アップテンポで激しいロックナンバーが続いて
私も他の観客も
手を上げて叫んでいた


「今日は本当にありがとう。」

汗を拭きながら司が言った


後ろのほうから黄色い歓声が上がった

「これが今日の最後の曲になります。」


すると
司は後ろを向いてドラムの人と話す

こちらに振り返った司の顔は少し恥ずかしそう?


「えーっと・・・
 初めて書いたバラードです。
 あなたを想って書きました。
 聞いてください “陽炎”」


なに?

なんで・・・今・・・

こっちを見たの?


~♪

~♪♪


流れるような
風のような
暖かいメロディー


そして
優しく力強い歌声


なんだろう

司の気持ちが


真っ直ぐで


強くて


息が苦しいよ