One Way Ticket 2

私たちの共通の友達で
行き付けの仁の店。

水曜日の締めくくりはこの店って決まってる。

「こんばんはぁ」

「うわっ、来たよ金にならない客が。」

憎まれ口も相変わらずな仁がカウンターから顔を出した。

店内は私たち以外に客は無く
いつもと同じカウンターに座った。

「仁、いつものね。」

「だからマスターって呼べって言ってんだろ?」

なんていいながらも
すでに私のお酒を作っていてくれる。

那智と仁は親友。

「那智、最近大学院はどうよ?」

ジントニックを那智の前に出しながら仁が楽しげに話し出した。

「別に普通。」

「あそ。可愛い子いる?いたら紹介してくれない?」

性格はまったく正反対な二人。
仁は熱血体育会系。
那智はクールなインテリ系。

でもなんか馬が合うらしい。
仁の前だと那智はよく話すと思う。


私といるときよりも・・・。

なんか

最近ネガティブ思考かも・・・?


「あ、千香。今度合コンセッティングしてくんない?」

「え~?!・・・なんで?」

私の明らかなめんどくさそうな顔を見て
仁はカウンターに引っ込んだ。

次に出たときには
手に葡萄が山のように詰まれた皿を持っていた。

瑞々しい光り輝く大粒の巨峰・・・。

私の目は釘付け!