One Way Ticket 2

出来れば会いたく無かった
「どうしたの?
1人?」


良一さんがゆっくり私に近づいてきた


今日は二回も良一さんに会ってる…


那智が知ったら怒るかな?






あ…


そうだ


那智は私に愛想尽きたんだ

怒る事もないんだ…


岩のようになった心がさらに重苦しくなる


「なにか…あった?」


良一さんは相変わらず感が鋭い…


「ちょっと…。」


足元に視線を落とす


「彼氏とケンカでもした?」

なんの反応も示さない私


その私の肩にフワッとコートがかけられた


「とりあえず体を暖めないと。そんなに薄着じゃ風邪引くよ。」


微かに香水がかおる


「大丈夫です。」


コートを取ろうとした私の手に良一さんの手が重なる

「せっかく、いい人で終わらせようって思ってるのに…困らせないでよ。」


一瞬にして良一さんの腕に包まれた


温もりが伝わる


「好きだよ。千香ちゃん。」

耳元で囁かれても


私の体は何の熱も帯びない
反対に冷めていく


那智が与えてくれた
微かに残る熱


それが消えそうで


良一さんの体を押し離した

「私、好きな人がいるんです。」


そう


例え嫌われてても


愛想尽かれてても


「私は那智を愛してる。」


「那智…?
まさか、それって。」


「俺だよ。」


那智が私の前に立った