One Way Ticket 2

那智は仁を軽く睨んで
仁の手を払った。

「那智?」

心配そうな仁の顔と那智の顔を交互に見る。
小さくひざが震えて

‘怖い’

初めて那智に抱く感情が
私から熱を奪っていくように

「千香。」

那智に呼ばれた瞬間・・・
びくっと体が返事をした。

「・・・はい。」

小さく消えそうな返事が返すのが精一杯で
那智の目を見る事ができない。

「来い。」

那智の大きな手が私の腕をグッと掴んだ。

「つっ・・・」

その力強さが私の腕を締め付ける。
痛くて顔がゆがんだけど
那智はそんなのに構うことなく
私を連れて店から出た。



残された隆明と仁は
何も言わず私たちを見ていた。