One Way Ticket 2

佐々木さんは笑顔を絶やさなかった

私はそれを
ただ取って付けたような笑顔で流していた



「千香ちゃん。
今日は無理に来てくれてありがとう。」


送ってもらう帰りの車の中で
突然まじめな顔をして佐々木さんは言う


「彼氏いるんでしょ?」

「・・・はい。」
質問に驚いたけど嘘をついても仕方が無い


「なら、わざわざ東京からごめんね。
っていっても俺も東京で仕事してるんだけどね。」


「え?」


初耳だった

佐々木さんはお母さんの会社の
取引先の知人

・・・


・・・


そう言えば


佐々木さんはさっきから
自分のことは一切話していない・・・


私ばかり
話させられてる・・・?


いつの間に




この人って・・・



何者?



佐々木さんの事に気がついたとき
私はもう
彼の中に嵌っていたのかもしれない




ごめんね那智


私が
浅はかだった