彼女が悪いのではない。


「昔の事だよ!過ぎた事だよ」

彼女は頭を、私の左肩に乗せ
窓の外を見る。


彼女の右手をとり
握りしめる。


私達は若くない
もう48歳。
若く見えても、気持ちが若くても

もうすぐ50歳。

33年前の思い出に
動揺するなんて・・・

家近くのバス停に着く。

『じゃっ、日曜ね
忘れないでね、駄目なら電話ね。』


彼女は笑って言った。


不思議な事に、途中のバス停で
誰も乗車してこなかった。


私はバスを降りる。

手を振る彼女
軽く手を振り、背を向け歩く。


夏の夕方は明るい
陽射しが眩しい。
そして暑い。