聞いては、いけないと 思ってる私がいる。 だか、聞いてみろと 囁く、もう一人の私。 『踏み出せなかったのか なかなか答えを出さないので、 嫌われたのか、解らない』 彼女は明るく笑って、そう言った。 私は 「そう」と だけ言った。 私はまだ、彼女の手を握っていた。 すると彼女が 私の手を見て 『あれっ、新田君も?』 そう私も一人、独身。 「独身だよ」 『なによ、騙された気分 ワタシだけ、こんな話しして』 騙しても、聞いた訳でもない。 自分から話したのに 私は悪くない。