切れた電話が、再び着信を告げた。今度は場にそぐわない、明るい曲を鳴らして。

柏木淳。画面上の文字を睨む。蒼空音には今すぐにでも柏木に会う必要があった。聞きたいことが山ほどある。それは向こうも同じだろうが。





帰省していると伝えれば、柏木の方が会いたいと申し出た。だとすると話は簡単。

駅前にこじんまりとした喫茶店がある。店主が席を外して殆ど自室に籠もることで有名。こんな日でなければ苛立って文句でも言いたくなるが、今はその状況がかえって好都合。


何時にする?柏木からのその問いに、今すぐにでも、蒼空音はそう答えた。