「うん、有難う、蒼空音。それだけなの。じゃあ、また明日ね!」

きっと無理に笑っているのだろう。必死になって、明るく振る舞っているのだろう。その努力を、壊してはならない。

「辛かったらいつでも言ってね。」


美乃は一人で悩みを抱え込む。もっと頼ってほしいのに、もっともっと頼ってほしいのに。



蒼空音の思いは虚しく、それから三日間、美乃は独りで苦しんでいた。忘れようともがけばもがくほど、柏木の笑顔が頭に刻み込まれていく。

美乃は柏木からの誕生日プレゼントを握った。小さな青い鈴のついたキーホルダー。高価なものではない。ただそれを握りしめた。握りしめて、枕を濡らし続けた。