少女、美乃はそれを聞いて顔を輝かせた。対する蒼空音は心底安心した表情を見せた。

「有難うございます。では今後、いえ、明日から、どうぞよろしくお願い致します。」


柏木は蒼空音の固い礼に苦く笑った。後ろで小動物のような美乃を見ると、思わず笑いが零れてしまうのだが。





その日は蒼空音と美乃の二人で登校していた。人混みに紛れて、二人の姿を見失う。



しかし自分が居たら車内恋愛は厳しいのではないか。いや、その前に彼氏とかに誤解されたら厄介だな。



柏木はふと、人混みの中でそんなことを考えた。