俺は軽く頭を下げ、



そばにいた同僚に金を渡すと、



その店を出た。



昼間のジメジメした暑さから解放された、



夜の涼しい風が吹く中、



一人歩く。



ったくよ……あの直樹の女。



気まずいと思ったのか、



帰り際はほとんど俺を見ることはなかった。



所詮、それだけの女ってことだろうな……。



直樹もまだまだだね。



あんな女に夢中になりやがって。