夜、リビングからもれる話し声に
足をとめた。


「おどろいたわ。
楓がすっかり変わってて。」


「さすがだな。
倉之助は…やっぱりできる男だった。」


「大変だったでしょう?
あのこわがままで…」



「いいえ。
意志のはっきりした
素敵な女の子です。」


「あの最高の召使のじぃが
楓にはめちゃくちゃ甘かったからな。」


「祖父が言ってました。
ついついわがままにお育てしてしまって
でもあの愛くるしい笑顔が
なんでも許したくなるって
それだけが気がかりだと…」



「倉之助は簡単にしつけたな。」



「お嬢様はおさびしいんです。
すべてはそこにあるんです。」



「連れて歩くにしても
結局のとこまた一人にしてしまうわ。」



「今は、大丈夫です。
楓さまは。すっかり素敵な女の子に
なりましたから。」


私は頬が熱くなる。
倉之助がほめてくれている。
まるで愛をささやいてくれているようで…