「旦那様、奥様
それから楓を奪うことにより
屋敷で働く人間は
職を失うことになる・・・・
有栖川家の存続は・・・・・
俺はいくじなしだから
こうやって、職を世話してくれた
料理長や
楓の様子を知らせてくれる
運転手の佐藤さんや……
みんなを裏切ることが怖いんだ・・・・」



私は両親や家のことしか
考えていなかったから
屋敷の従業員のことを言われると
前に進めなくなった。



「きっと俺たちがもし・・・
一緒になるといっても
彼らは祝福してくれるだろう。
でも・・・楓がいなくなった屋敷で
彼らがする仕事はない・・・
俺たちは
結ばれてはいけない運命なんだ。
それなら一生そばで
楓を見ていられる
召使に戻って
違う愛の形で支えていきたい・・・
そう決心した。」




どうして・・・
結ばれてはいけないの?
こんなに愛してるのに


瞳を閉じても
すぐそばに今は倉之助を感じれるのに・・・