「私の甘さや潤いは
倉之助にしか見せない・・・
だから私の全部を奪ってほしい。」



「私は召使として
一生あなたのそばで暮します。
体のつながりじゃなくて
心でつながっていましょう。
そうじゃないと…二人とも苦しいから。」



「私をここから奪って・・・・
召使じゃなくて
男として人間として
一生私のそばにいて・・・・
倉之助は生き甲斐を感じてる
仕事をして
私は、そんな倉之助を支えていきたい。」



「何度も何度も
そう思ってきて・・・・・
有栖川の家であたりまえの
人生を歩かせるくらいなら
それを不幸と楓が嘆くなら・・・・
奪って逃げたいと・・・・
二人の未来を想像したけど
その選択をするには
お世話になった方々を不幸にしてしまう。
二人だけの話では
なくなってしまう・・・」


倉之助は
苦しげにささやいた。