どうやら聞き違いではないようだ。
幸彦は、鏡の中の自分に顔を赤らめている。
まるで恋する乙女だ。
私が呆然と幸彦を見ていると、幸彦が優しく私に微笑みかけた。
思わず、微笑み返してしまう私。
って、ちがーーーう!!
この人、おかしいでしょ!?
自分の顔に惚れてるよ!!
まさか…これは、まさか…
ナルシスト、ってやつ?
「何?小村さん。美しいからって、僕の顔をみつめないでよ」
「みつめてない睨んでるんです」
初めてナルシストという人種にくらわした。
しかもこの人の場合、極度のナルシスト。
あ、まだ鏡見てやがる。

