お姫さまだっこされたまま、保健室に向かった私。


海斗君にだっこされて、私は顔が真っ赤になった。


海斗君から香るシトラスの匂い。
私をだっこする腕は、知らない男の人みたいな感じがした。


海斗君に…私のドキドキがきこえてるかな?



―――――――

ガラッ


保健室のドアを開けた海斗君は、白いベッドに私を下ろしてくれて、ハサミでロープを切ってくれた。




「姉貴!千夏姉を連れてきた」
「千夏っ!大丈夫?」

椅子に座っていた香は、少し目を赤くしていた。


私を確認すると、安堵の表情で私を抱き締めた。


「千夏!千夏!千夏!心配したんだよ!」
「香…ごめんね…ありがとう」



香は私の横に座り、海斗君は向かい側に座った。


「…良かったよ。無事で。
私さ、てっきりもう海斗に返事したと思って教室見に行ったら、千夏がいなくてビックリしたよ」