「…………千夏ちゃん。よく聞いて。」


運ばれた水を飲んだ有先輩が私に言い聞かせるような口調になった。

「…はい。」



「海斗君は幻滅なんかする男ではないと思う。
それは信じてあげて欲しい。


それとね、
海斗君は弟として接していた時にどんな表情だったか思い出して?」



私はグラスを置いて、記憶を呼び戻した。
海斗君の表情??
確か……



――――――

「良いよー私がついていってあげるよ。」



中1の時、映画を見に行かないかと海斗君に誘われた。
付き添いだと思ってそんなことを言った。



けど


「やっぱり、いい。」


海斗君は下を向いて行ってしまった。
その時の表情は何故か悲しそうで、
でも私はその理由が分かっていなかった―――――――



「…悲しそうな表情だったと思います……………あっ!」


私は有先輩が言いたいことを理解した!