あの後つれてこられたのは、フワフワの大きなベットのある部屋。
ここは、ルイカンドさんの部屋らしい…

「麗華ちゃん?リンゴ好き??」

「え、っト…」

「あぁ、僕はアレキッド=ナルシェー!皆はアキって呼んでる!麗華ちゃんもアキでいいよ?」

「いえっ、あノ…大丈夫で、ス…」

「だめだめ!…ルイ君に怒られちゃうからねっ!ルイ君が女の子に目を向けたのは今日が初めてだから……」

「え、」

そういいながら、アキさんは、麗華に「はい♪」と兎剥きにしたリンゴをフォークに刺してわたす。

「いただき…まス…」

パクッ、と一口、口に含むと、シャリシャリとリンゴが音を出す。
塩の味がするのは気のせいかな?

「僕タチの冷蔵庫は海そのものだからね、食べるときだけ紐につるして、海に沈めるの。ちょっと初めての人にはしょっぱいかな?」

やっぱり、気のせいではなかったようだ。

「いいエ。すごくおいしいでス。私のためにわざわざありがとうございましタ…」

「ううん。お口にあってよかった!」

この人は、悪い人じゃない…
そう思えた。

ドバーン!!!と乱暴に蹴りあけられたドア
ものすごい音に体をビビらせる。

「夕飯です。」

そういって、私の前に、いい香りのするリゾットがつがれたおわんを渡す。

「あ、あノっ!!」

「カルチェ=ヴェルカです。」

「あ、ありがとうございま、ス」

「………ッ」

ビクッ!!!
カルチェさんはひと睨みをすると、そのまま部屋を出て行ってしまった。

あの人は、怖い人だッ

「あ、麗華ちゃん、気にしないでね?あの子ルイ君大好きッ子だから。きっと取られたから嫉妬したんじゃないかな?」

「え、それっテ、ホ…」

「あ、尊敬での意味、でね?」

「そうですカ。」

アキさんは私の心を見抜いた感じで、そう付け足した。

「あ、そのリゾットはカルチェがつくったんだよ?」

「え。」

「料理担当だからね♪」

私は白い湯気をたてる、温かいイイ匂いのするリゾットに目をやると、グゥウとおなかの音がした。
アキさんは、それにアハハと笑って、「おいしいよ?」そういって、スプーンをとり、リゾットを私の口に運ばせた。