『なんなんですかっ、昨日会ったばかりのあなたに、
何がわかるんですかッ、』
「私にハ、何も理解できませン。
帰りたいでスッ、お母さんやお父さんや、村のみんなに会いたイッ」
私はたった一人、大きなルイカンドの部屋の片隅で、体育座りをし、体を小さくしながら、涙を流す。
ガチャ、コトッ、バタン…
え?
俯いていたので、何が起こったかはわかりませんが。
音がした。
ドアから誰かが入ってきて、何かを置いて、出て行った音。
ふと、見ると、
ソコにはジュースが置かれていた。
「これ、ハ…」
「ルイさんの命令で仕方なくです。あまり泣くと、水分持ちませんから。」
ドア越しに聞こえた声。
カルチェさん…ですか。
「…コレも、手作りですカ?」
「基本手作りです。」
「…すごくおいしいでス。ありがとうございましタ」
この人は、本当は怖い人じゃない…
そう思える、
料理には、人の心の結晶だってお母さんからよく聞いたから。
「…ルイさんは、」
「エ?」
「ルイさんは、あなたと同じ15歳の時、まだ世界をソコまで知っていないときに、このチームを作ったんです。
そして、その時…いくあてがなかった5歳の子供を引き取ったんです。それが僕です。
あの人は今では20歳の大人ですが、あの人もアナタと同じ15歳のまだ子供を思われる歳で、親の元を離れてるんです。」
「………」
「アナタは大丈夫です、ルイさんがついていますから。それだけは分かっていてください。」
その言葉を残すと、タタタッと足音が聞こえた。
恐怖で、怖かったけど、
「そうダ私は世界を知る前ニ、
みんなのことヲ、親切にしてくださった方のことを知っていなかったんですネ」
まだ、知らない世界が、これから幕を開ける…

