「俺の好きな人はな…泣き虫だ。」

朝田先生って泣き虫だったんだ。

かわいいし、キレイだもんね。

そりゃ好きになるよ…。

あたしが朝田先生だったらよかったのに。

そうすればこんなに苦しい思いしなくてすんだのに…。

もうこれ以上は聞けないや。

聞くとよけいにつらくなる。

「そうなんですか。あっ、そういえば今日の夜 朝田先生と食事行くんですよね…??急がなくていいんですか??」

行かないで…。
無理なのにそう思ってしまう。

「あれ??もしかして聞いてた??」

聞いてた。
それで好きって気づいちゃったんだから。

「はい。」

「あれ、断った♪」

断ったってことは無しになったの…??

「え…!??なんでですか??」

「おっ、くいついてきたねー!やっぱ恋ばなが好きなのか♪」

いやいや、そうじゃなくて…
なんで断ったの??

「なんで断ったんですか??」

「ん??秘密♪」

そう言って先生は笑った。

「付き合って…ないんですか??」

「付き合う!??ないないないないっ。職場だよ??ないない。」

ないって…
付き合ってないってこと??