後ろから抱きしめられるうち。



何このベタな展開?

緊張し過ぎて言葉出ないっつの。

「ふっ・・何?柄にも
なく緊張してる?笑」

「はぁ・・?」

ほんとはずっと
こうしていたい・・・。
けどねこんなのうちじゃないでしょ?
うちは軽く突き離した。

「何なの?いきなり」

「ほれ」

そう言ってうちに
差し出してきたのは
小さい茶色の紙袋。

「?」

そっと中を覗いてみると・・・
濃いピンク色のキラキラな
超可愛いヘアピン。

「・・・超可愛い」

思わず出た言葉

「クスッ・・お前っぽいだろ?」

その時の笑顔

うちはその一瞬の笑顔に・・・



―――――心奪われた。



時間が止まったような
不思議な感覚
呆然と立ちすくんでいた

そんな気持ちをかき乱すように
アンタは口を開いた。

「前のピンは俺がもらったから
お前それな?」

「わ・・・分かった」
小さくうなずいた。

「可愛」

ん?今可愛いって・・・言った?

「・・・」

「じゃあな」

必死に平然を保とうと
しているうちをよそに

アイツは背を向けて
ヒラヒラと手を振っていった。