見送ったあと荷物をキッチンのテーブルに置きリビングに向かう。

 テーブルの上にあるベリルが持ってきたボトルに目を向けた。

「……」

 ゆっくりと歩み寄りボトルを両手で握りしめてうずくまる。

「ベリル……よかった」

 マークは静かに涙を流した。

 ずっと心に消えないしこりのように彼を苦しめていた過去がようやく解き放たれた。

 これで悔いはない。

 僕は、はばたく翼をこの目でたったいま見たのだから……マークはいつまでも琥珀色の液体が揺れるボトルを握りしめた。