青年はブランデーのボトルをマークに示してテーブルに乗せた。

「随分と高そうなブランデーじゃないか」
「お世話になった礼です」

 言って向かいのソファに腰掛ける。

 それにマークは笑いをこぼした。

「僕は何もしていないよ」

 言った言葉にベリルは静かに首を横に振った。

「私の名を報告しなかった。だから私は今まで自由でいられた」

「! そんな事か。友人なんだから当り前だろ」

 マークは立ち上がりグラスを用意する。

 それを見たベリルはボトルの栓を抜いた。

 グラスに琥珀色の液体が注がれる。

「!」

 本当に高級品だ……マークはその色と香りに顔がほころぶ。

「話してくれ。今までの事を」

「そうですね……何から話せばいいのか」