落ち着いた足音が近づいてくる。マークはゆっくりと目を開きリビングの入り口まで気配が近づいてきた処でそちらに目を向けた。

「!!  ま、さか……そんな」

 マークはその姿に思わず立ち上がる。

「お久しぶりです」

 柔らかな笑顔でその青年はマークに口を開いた。

「そんな……馬鹿な」

 フラフラと立ち上がり青年に近づく。金髪のショートヘア、エメラルド色の瞳。

 その顔立ちはまさに……

「ベリル? 本当に?」

 無言で頷く青年にマークは首を横に振った。

「いや、そんなハズはない。生きていたとしてももう45歳のハズだ……それとも君は彼の息子か?」

 どう見ても25歳の青年に震えた指を差し示す。

「! いや……」

 彼は子供は作れないハズだ。

「クローンか?」
「私ですよ、マーク」

 そうだこの声。マークは30年前の記憶を呼び覚ます。