「……」

 視察を終えて家のベッドで考え込むマーク。

「あの顔、自分の境遇に悲観してるモノでもない……ただ自分なりに受け入れた。というだけなんだ」

 彼は彼なりに自分の出来る範囲の中で人生を楽しもうとしている。

 遺伝子を学んだ者として初めは好奇心が先走っていたマークだが現実に直面し、いかに己の考えが愚かだったのか気付いた。

 人道的なんてレベルじゃない。

「普通の遺伝子研究してた学生時代の方がはるかに楽だったよ……」

 本物の人間の遺伝子を使った実験。

 成功した結果がこれだ。

「そりゃ考えた事はあったさ。でも想像と現実は……全然違う」

 ベリルはもう『成功例』なんかじゃない。

「僕の……友達だ」