「こ、こんにちは」

 たどたどしく話しかけるマークにベリルはクスッと笑った。

「!」

 笑った……感情の起伏が薄いとは聞いていたが無い訳じゃないから笑うのは当り前だけど。と青年は自分の思考に苦笑いを浮かべる。

「珍しいですよね」
「えっ!?」
「私という存在は」

 言いながら部屋を出る。マークもつられるように後を追った。

「そ、そりゃあ、まあ……」

 正直に答えたマークにベリルは歩きながら顔を少し後ろに向け再び笑いかけた。
「あなたはいい人です」

「え?」

「今まで視察に来た人たちは私を人間として見ませんでした」

「!」

 少年は歩みを止める事なく前を向き薄く笑って小さく発する。

「品種改良した犬や猫と大差ない」
「! そっ……そんな訳、無いじゃないか」

 マークは胸が締め付けられる思いがした。