マークにとっての初めての視察を終え報告書を提出する。

「……」

 それを無言で読む上司。一通り読み終え書類をデスクに置いた。

「君の見解はよく解った。当分、視察は君に任せよう」

「! ありがとうございます」

 部屋を出てマークは喜びに小さくガッツポーズを取り笑みをこぼす。

「やった! やったぞ」

 またキメラを見られる。彼の心は歓喜にうちふるえていた。

「……」

 しかしふと思い起こす。

 そういえば……キメラの名前を誰も知らないのだろうか? 科学者たちは視察に来た人間に話していないのか? ならば何故、僕にだけ……?