しばらくベリルを眺めたあと、マークとベルハースは部屋をあとにして会話を交わしながら通路を歩く。

「彼は自分の事を……?」

「もちろん知っている。3歳の時に話した」

「! どうしてっ」

 3歳の子供に『お前は造られた』と話したって言うのか!? 驚くマークに教授はしれっと応える。

「その方が実験はスムーズに進む。理解しない子供ほど厄介なものはない」

「!?」

 これだから学者というものは……! マークは教授を睨み付けた。

 こういう人間に何を言っても仕方がない。

 彼は諦めるように小さく溜息を吐き出すと仕事に戻った。

「他に何かありますか?」

「特には無いな。感情の起伏があまり見られないが問題は無いだろう。あとは生殖能力が欠如しているくらいだ」

「! 生殖能力の欠如? 問題ないのですか?」

「その部分について彼を対象に研究は出来ないが、その他の部分については見ておわかりの通り大成功だ」

 ベルハースは言い聞かせるように右手を軽く揚げた。