「どこも具合の悪い処は無いかな?」
「ありません」
「……」

 確かに見た目はごく平凡な少年のようだが……マークはその雰囲気に目を見張った。

 9歳の少年とは思えない落ち着きと存在感。見つめられると動けなくなる。

「彼はマークだ」

 そう言ってベルハースは青年を示した。

 少年はやはり無表情にマークを見つめ青年の前に立つ。

「よ、よろしく」
「よろしくお願いします」

 嫌味のない丁寧な言葉遣い。少年は説明を受けなくても彼がどういう人物なのか知っているのだろう。

 そういう態度に感じられた。