キ ミ イ ロ














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すっかり暗くなったビーチを出て、ホテルに戻る。

愁の言ったことが全く理解出来ないまま、早妃と歩いた。




「ねえ涙っ、愁、なんか言ってた?」


「…好きな奴とか聞かれた」


「……そっかあ…」



早妃は頭を抱えた。
そして呟くように
「どーにかしなきゃ…」
と言った。




愁と和真はまだまだ帰ってこないらしいから、愁がいない間にシャワーを浴びた。


窓の近くに、イスが2つ、テーブル1つ。
マンションに住んでたときのことを思い出した。


実際そのイス、自分しか使わなかったけど。


イスに座って外を見ると、キラキラ光る海。
白い砂浜。



まだこの世界にはキレイなものがあったんだと実感した。


ガチャリとドアの開く音。





「…涙、シャワー浴びた?」


「うん」



愁が帰ってきた。
振り向かずにそう答えた。
窓に愁が反射して、バスルームに入って行くのが見えた。




付けていたテレビの音だけが、妙にうるさく耳に届いた。