いつもより無邪気で、少し照れ笑いしながら言う櫂兄を見ながら、 「……じゃ」 と言ってやる。 部屋に入って、カバンを置いて、ベッドにダイブ。 枕に顔をうずめると、微かに匂う漂白剤の匂い。 「……はあ」 今日から夏休み、いつもの4人で海行くし、 ──・・・櫂兄と、花火も。 ……花火、か。 ────── 『きれいね、涙』 『うん!!』 『また来年も、次の年も、家族で来ようね』 遠い日の約束だった。 だけど、その約束のあと、 二度と、行くことはなかった。