「…カッコ悪いよ」
そう言ったら、櫂兄はガーゼを着けた。
その後に、手をギュッと握って
「ねぇ涙、泣いたっていいんだよ?」
そう言った。
──・・・泣いたっていい?
そりゃあさ、
子どもみたいに周りの目を気にせずに泣き叫ぶことが出来たら、
すごく楽だよ。
大人みたいに、いろんなことを過去と捕らえて、簡単に受け入れることが出来たら、
すごく楽だよ。
だけどさ、
両者とも出来ないんだ、自分には。
“泣く”って行動を、どれだけ自分の中で探しても
全く見つからなかった。
唯一思い浮かんだのが、愁。
愁の涙。
それだけで。


