再び戻ってきたリビング。
さっき座ってたソファーに再び座って、
「……腕、かして」
櫂兄が優しく、腕を出すように促す。
「…………」
少しためらった後、櫂兄の真っ直ぐな目に根負けして腕を出した。
「…痛かった?」
「……うん」
──・・・前は痛くなかったのに。
「…少し染みるかも」
そう言いながら、消毒液を染み込ませた綿を、リストカットのキズ、打ちつけたキズに優しくつけた。
痛かった。
ピリピリした。
キズを見つめる櫂兄から、目を逸らした。
「……涙ってさ、泣かないよね」
「…………は?」
──・・・泣かない、それが?


