「大丈夫?」
新しいガーゼを持ってきた櫂兄。
心配そうに。
「……平気だよ、これくらい」
打ちつけたときは痛くなかった。
「やろうか?」
「……いい」
櫂兄に任せたら見られるだろ?
ほら、“ケガ”が。
「でも…、両手使えないじゃん」
「……出来る」
保健室でやったときは自分で出来たんだ。
だから大丈夫。
「さてとっ」
櫂兄が、飲み終わったコップをキッチンに持って行こうと席を立って、コップを洗い始めた。
──・・・今だ。
今、やっておこう。
見られなくて済む。
急いでガーゼを袋から出した。
ハサミで適当な大きさに切り分ける。
貼ってあったガーゼを剥がす。
──・・・ガチャン。
バッとキッチンを見た。
櫂兄がコップを置いた音にも、敏感に反応してしまう。
早く、早くしないと。
見られる。
早く。


