コップを机に置いたとき、櫂兄の顔が強ばるのがわかった。
「……涙、腕、どうした?」
「っ!!」
慌てて腕を隠したけど、櫂兄の目はしっかりと、白いガーゼが張り付いた腕を捕らえていた。
「ケガでもした?」
──・・・そうだよ。
ケガ、ケガだ。
心のキズが、身に浮き出た痕。
「……こけた」
「痛い?ガーゼ替える?」
──・・・なに信じてんの?
こけてこんなとこ、ケガするわけねぇじゃん。
「……いーよ、自分で出来る」
「ガーゼ、出しとくよ」
櫂兄が席を立った。
その瞬間に、ガーゼに優しく触れる。
指先で少し触れただけで、体に痛みが走った。
「……痛っ…」
ピリッと、全身を伝うように。


