「血の繋がりがない人を、家族って言わない。言えるわけない」
自分は絶対に無理だ。
たとえ親が、勝手に結婚しても。
血の繋がりがないんだから。
でも櫂兄はこう言った。
「それは間違ってる」
と。
「……間違ってない。
なら櫂兄、ただ一緒の屋根の下で住んでる人間が家族?」
そんなの家族なんかじゃない。
お母さんだって。
「……家で涙を待ってる人が、家族じゃないの?
それだけじゃ、家にならない?家族になれない?」
「…待ってくれる人なんか、いないよ」
「いるよ」
──・・・なんだよ。
櫂兄はさ、
「……俺は家で、涙を待ってる」
すぐ自分の中に入ってくるんだ。


