「……何してんの櫂兄」
「大事な大事な妹を探しに来た」
──────
真っ暗の中、電灯が薄暗く光る。
歩く足跡、隣に櫂兄。
「涙、いつもこんなんなわけ?」
「…そーだよ」
──・・・引けよ。
だから笑うな。
あの優しい笑顔で、こっち見るな。
「……お母さんの料理、おいしかったよ」
と、櫂兄は言った。
「…よくお母さんって呼べるね」
なんで櫂兄はそんなに心、開けれるの?
「…なんで?」
そんなん、当たり前。
「血が繋がってないのに、本当の家族じゃないのに」
確かに自分はそう言った。
本当は櫂兄だって、家族じゃない。
「…家族に、俺らなったじゃん」


