ま、今更気にしてないけど。 でもそのときに、鳴るはずのないケータイが鳴った。 ──〜♪ 「涙のケータイ?」 「……ぽいかも」 面倒くさそうな顔をしながら、内心期待している自分がいた。 「………だれ?」 だけど、ディスプレイには番号のみで。 登録されている番号ではなかった。 「出てみれば?」 「…………はい?」 不審に思いながら、通話ボタンを押す。 その瞬間、 「涙?今どこ?」 その声はお母さんじゃない。 お父さんじゃない。 「……櫂兄?」 ──・・・櫂兄、だった。